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アパート経営入門
2021.08.26| 中島 厚己 PV数 3,560

新築アパート経営で利回りを鵜呑みにすると失敗する

新築アパート経営で利回りを鵜呑みにすると失敗する

新築アパート経営を「利回り」だけで考えていませんか? 新築アパートを購入する場合、利回りは重要な判断材料です。

利回りが高いほど、収益性が高いということになるわけですからできるだけ高利回りの物件を購入したいと考えるのが普通ですよね。

しかし、本当に「高利回りだから良い」のでしょうか?

実は「利回り」だけを見ていると、思わぬ落とし穴があります。

あるオーナーが語った、笑えない話

「利回りほど、あてにならないものはない」

あるオーナーとの会話の中で、衝撃のフレーズが出てきました。

「利回りほど、あてにならないものはない」と言うのです。

「どういうことですか」とお尋ねすると「新築プレミアムの家賃設定は、ある程度覚悟していたのですが、想像以上の家賃下落で、完全にあてが外れました」とのこと。

さらに「他社アパートでよく聞く話」だそうで、ひどい話だと思いました。

なぜ「よく聞く話」なのか

新築アパートを販売する会社は、お客様にアパートを買っていただいて利益が出る商売です。

なので商品である「新築アパート」、本質的には「お客様が得られる利益」を良く見せたいという思いがあります。

そういった背景から、実際の利回りと掛け離れた営業トークになってしまうわけです。

「今どき○%の利回りは悪くないですよ」と担当から言われれば「確かに、これは買わなきゃ損だ」となるのは仕方ありません。

「利回り」は操作されている

そもそも「利回り」とは?

アパート経営に興味を持ったら、まず耳にするのが利回りという言葉です。

その利回りには大きく分けて
・投資利回り
・表面利回り
・実質利回り
の三つがあります。

基本的にオーナーには「表面利回り」を前提に提案されることが多くあります

「利回り」の計算方法

表面利回りがどのようなものかというと、簡単に言えば、年間家賃収入を販売価格で割ったものです。

例えば、月の家賃が6万円の部屋が8部屋あれば、月額48万円。

12か月では576万円の賃収になります。

それに対して土地建物のセット販売価格が7500万円とすれば

576万 ÷ 7500万 = 0.0768

よってこの場合の表面利回りは7.68%となります

「利回り」の現実

この利回りの計算結果は、「適正な家賃設定」がされているのが大前提です。

先程の例で考えると、新築プレミアムとして月の家賃を10万円とすると表面利回りは12.8%にもなります。

とても魅力的な数値ですが、これに騙されてはいけません。

10万円の家賃で入居者が入らなければならないため、この利回りは実現しません。

結局家賃を下げなければならず、想定していた計画が崩れてしまいます。

ローンの返済等がある場合は、想定と大きく違ってしまった場合は絶望してしまうかもしれません。

適正ではない家賃設定

ここで問題なのは、「適正ではない家賃設定」です。

「とにかく売ろう」と考えている販売会社は、”その家賃で入居者を募るのは無理があるであろう”という高い家賃設定で事業計画を作り、そしてそれを販売します。

家賃が高くなれば、当然利回りも高い数字になり、紙面上ではとても優良な物件に見えるため

オーナーは「ちゃんとした会社だし、まさか後で想定外のようなことは起きないでしょう」と信頼して購入されます。

しかし2年も経つと愕然とする事態が、待ち受けているわけです。

販売会社の提示した「利回り」に踊らされない!

自分で利回りを想定

なぜこのようなことが起きてしまうのかというと、販売会社の提示した利回りを鵜呑みにしてしまったからです。

そうではなく、自分で適正な利回り、そして適正な家賃を考える必要があります。

家賃設定は「物件」

しかし「適正な家賃」とはどう考えれば良いのでしょうか?

その答えは「物件の価値」です。

物件に見合う家賃設定ができれば、利回りに踊らされることはなくなります。

「自分の物件」と「他の物件」を比べる

例えば、自分の物件と、その地域の他の物件の値段を比べてみると、相場観がわかります。

最近新築で建ったアパートの家賃が7万円で空室が無ければ、7万前後が適正であることがわかります。

また、別の視点で考えると、同じような内装の物件と比べるという方法もあります。

まとめ

販売会社は同じ商品を同じエリア内に、何年にも渡り販売しているわけですから過去のアパートの家賃がどのような状況をたどったのか、調べるまでもなくわかっているはず。

それにもかかわらず、冒頭のようなオーナー様が後を絶たないのは悲しくなります。

とにかく利回りに踊らされないよう、しっかりと物件を見極めることが大切です。

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