不動産投資の初心者の方でしたら、新築アパートを買うよりも「安い中古アパートの方が始めやすそう」「区分所有の新築マンションの方が良いんじゃないか」と考えるかもしれません。
そこで、今回は「新築アパート経営 VS 他の不動産投資」と題して比較してみようと思います。
目次
不動産を初めて購入する方の多くは「まずは中古を買おう」と考えることが多いようです。
中古の方が低額で物件を手に入れることができますし、ある程度入居の状態を確認してから購入することができます。
たしかに、いきなり高額の新築を購入するより、まずは少額の中古からというのは賢明な判断かもしれません。
中古物件はハイリスクですが、新築より安く購入できる分、経営がうまくいったときの大きなリターンを見込むことができます。
良い物件か否か、それを見極める目を持っていれば、中古物件で大きく利益を出す経営を目指しても良いでしょう。
しかしその前に「中古物件の売主の立場」をここで一緒に考えてみましょう。
大きく分けて、3つのケースがあります。
建築して3〜4年しか経っていないのに売りに出しているということは、ほぼ失敗したから売却するのだと考えて間違いありません。
新築にも関わらず早くも空室だらけで逆ざやになり、家賃収入だけでは借入返済ができない状態です。
売主は"赤字物件のアパートを早く手放したくて仕方がない"という心境でしょう。
建築後5年を経過していれば、譲渡所得税が軽減されますから、売却するケースも確かにあります。
しかし、それでも堅実に経営できているならわざわざ売る必要はありません。
この場合の売り主の心境としては以下のような心境でしょう。
「赤字は免れたが、建物が古くなる一方であることを考えると、早めに売却していったん利益を確定させたい。」
「それを元手に、また新築を買い、同じ様に売り、繰り返し儲けてみせる。」
「購入物件に、それほど思い入れはない。」
「これまで減価償却で節税できたが、そろそろ買い替えタイミングかもしれない。」
「甘い汁は吸ったから、メンテナンス費用がかかる前に新築に買い替えよう。」
「借入返済も進んだため、いま売ればかなりのキャピタルを手にすることができる。」
多くの方はそのように考えているでしょう。
以上、いずれのケースにおいても、売主側は自分の利益を最大限に考え行動します。
大切な不動産を安売りする方はいないでしょう。
こういった思惑がある中古アパートを買うのは、かなりリスクが高いことはおわかりいただけたと思います。
それでは次に新築アパートの販売業者の立場を一緒に考えてみましょう。
販売業者も企業ですから企業側の利益を乗せなければ販売できません。
しかし、企業側の利益ばかりを追求していてはオーナーからは支持されません。
そのため各企業はしのぎを削り新たな土地仕入れや新たな商品開発など、常に進化しより良いものを生み出すべく全力を尽くしています。
ある意味その苦労こそが「価値(利益)」となり、それがあるからこそ順調に販売できるのだと思います。
さらに企業にとって「去年より今年、今年より来年」と売り上げをアップしていくことは使命です。
その使命を全うするため、やはり企業は日夜努力を重ねています。
そこには近道もなければ、省けるものも何一つありません。
「昨日より今日、今日より明日」と日々追求してきた結果がそのとき販売している物件です。
新築アパートは企業努力の賜物といえるでしょう。
不動産投資を始める方が最初に購入する商品として圧倒的に多いのが"区分所有マンション"です。
アパートのような一棟物より価格が安いため「試しに…」という気持ちで購入しやすいようです。
投資としての区分所有マンションのメリットとデメリットについて考えてみましょう。
不動産投資を始めるなら「まず区分所有マンションで練習し、どんなものかわかってから一棟物などに手を広げていく」という考え方が浸透しているように感じますが、初心者の方こそ新築アパート経営から始めたほうが良いと思います。
特に「不動産を複数棟所有したい」「不動産からの収入を安定させたい」と思っている方ならなおさらです。
「区分所有を購入するよりは、一棟物を購入したほうが良さそうだ」と考えはじめた方が次に迷われるのが"アパート"にするか"マンション(RC)"にするかということです。
「お金さえあれば新築マンション(RC)が良いに決まっている」と思われがちですが、不動産投資の観点から見ればそれが意外とそうでもありません。
"新築アパート"と"新築マンション(RC)"で比較される方が多いため、ここではそれぞれのメリットとデメリットを考えてみましょう。
新築RCは耐用年数が50年~60年と長いのですが、それに比べて各部屋の設備の耐用年数が20~30年と短いことから、30年も経ったころからメンテナンス費用がかかってきます。
加えて、借りる人のニーズも20~30年経てば変容し新築時は最先端であったお部屋も時代遅れとなることで空室が目立つようになります。
では、新築アパートはどうでしょうか。
"償却年数","設備の耐用年数","入居者ニーズ","融資借入期間"がほぼ同じくらいだとすれば、小回りが利き自由度の高いアパートのほうに次の手の打ちやすさがあるように思います。
また、アパートであろうとRCであろうと建物自体の耐用年数は思った以上に長いのですが、入居者のニーズは長くて20~30年だということが一番の問題となります。
竣工から30年経ったときにRCの場合は返済がまだまだ残っている点が厳しい部分です。
区分所有、RCときたら、やはり"戸建て賃貸"に関しても言及しなければいけないでしょう。
ここでお伝えすることはあくまでも個人的な考え方ですが、投資物件選択の参考にはなると思います。
戸建て賃貸をお勧めしない理由を挙げてみます。
基本的に戸建賃貸が事業として成り立つエリアは「土地代がかなり安い郊外」です。
人口減少が進む現在において郊外型の賃貸経営がうまくいくとは思えません。
新型コロナウイルスの影響は多少あれど、今後も都心回帰は続くと考えられるからです。
子供を持つ若い世代は学校区のよさや近さなど交通機関の便利さを求めます。
シルバー層は持ち家かそうでなければ都心に近くスーパーや病院や銀行などが近いエリアを好みます。
郊外の住宅に全く需要がないとは言いませんが、なかなか入居者がつかずに空室に悩むであろうことは容易に想像できます。
先ごろ施行された空き家対策特別措置法も気になります。
本当に古ければ解体せざるを得ないでしょうが、そうでなければ「貸そうか」となる方も増えるのではないでしょうか。
今までは空き家でも気にしていなかった家の所有者の方がライバルとして現れそうです。
投資金額に対して戸数が少ないのが気になります。
例えば4000万の投資で3棟購入したとしましょう。
もし1棟でも空きが出ればいきなりマイナスか良くてもトントン。
家賃を下げて成約すれば残り2棟からも値下げ交渉を受ける事態になりかねません。
特に戸建てが並ぶエリアはご近所付き合いが基本のため、住民同士で情報を共有します。
また空室は金銭面だけでなく物件自体にも影響します。家は住まないと傷みが早くなるからです。
古くなった戸建賃貸住宅をしかも郊外で購入したいと考える方がどれだけいるのか疑問です。
うまくいけば住んでいる方が直接買ってくれるかもしれませんがその可能性はどの程度なのでしょうか。
今後は空き家対策特別措置法の絡みで郊外の中古戸建住宅の売り物がますます増えるのではないかと予想されます。
そんな中での郊外の中古戸建の売却は難しいのではないかと思います。
以上のような状況を考えると当サイトでは「戸建て賃貸はお勧め出来ない」という判断になります。
多くの人が思っているより新築アパート経営はデメリットが少なくて初心者に適した投資対象です。
しかし全ての新築アパートが良いわけでもありません。
「いかにニーズをとり入れているか」「企業体質の良し悪し」「物件の良し悪し」をしっかり見極めることが大切です。
よく慎重に検討されることをお勧めいたします。